大淀川流域ネットワークは、宮崎県の大淀川流域の環境保全、環境の向上、川文化の振興を図ることを目的として活動しています。

水辺での安全な活動

川は、私たちを含めた生態系の生息・生育の場であるとともに、住民にとって身近に自然を体験できる場であり、地域文化を育む場であり、憩いの場でもあります。このような貴重な川の環境を保全し、清流を取り戻すには、大人はもちろん、子どもたちも一緒になって、川で遊び楽しみながら、川の素晴らしさ・大切さ・楽しさに気付き、川への関心を高めることが必要です。

しかし、その一方で、川での活動は危険を伴うことも事実で、残念ながら宮崎県内で水難事故が起こっています。このような水難事故の発生を防ぐには

  1. 危険が伴うことを認識すること
  2. 水辺のどこが危険かを知ること
  3. 安全な装備を身に付けること

これら3つのことが必要です。以下では、これらの事柄について説明しています。

危険が伴うことを認識すること

川に入る際の装備を例示します。

胴長や長靴は「水中で転倒したり、深場での使用は、内部に水が浸入すると、重さで立ち上がれなくなる大変危険」な装備です。2009年8月に那覇で発生したガーブ川鉄砲水事故での死因は、胴長の着用でした。水中では思わぬところで転倒してしまう危険性があることを十分に認識して、胴長や長靴の着用は避けてください。

水温が低いところでは、低体温症の防止にウエットスーツを使います。

水辺の危険な個所

a. 堰の近く
沖水川の事例

上の写真は、魚釣りに来た子ども達が堰の上で遊んでいる事例です。水に入ろうとしている子どもが、もし流されたら、大事故になっていたかもしれません。

こんなところは、下の図に矢印で示すような複雑な流れになっていて、堰の下から抜け出せないばかりか、白く泡立っていて浮き上がるのが難しい、「大変危険」な個所です。ここでは絶対に遊ばないようにしましょう。

堰下流の複雑な流れ
b. 流れが激突する岩場
下の図と写真は、流れが激突する岩場の状況を示したものです。このように流れが激突している箇所では、写真のようにカヌーが転覆し易いのですが、投げ出された人には強い動水圧が働いて、岩場に張り付けになり、抜け出せずに大事故になってしまう「大変危険」な個所です。
流れが当たる岩場の流れと岩場に張り付いた事例

動水圧は、流速の二乗に比例しますので、流れが速い箇所ほど危険性が高いことになります。
c. 水がすり抜ける箇所

水がすり抜ける箇所
次の写真は、倒木の下やブロックの間を水がすり抜けているところを示したものです。このような箇所の水面下には障害物がある場合が多く、人がすり抜けられずに、障害物に張り付けになって、動水圧で抜け出せずに大事故になってしまう「大変危険」な個所です。
d. 淵

淵とは、川の流れが緩やかで深みのある場所のことです。下の写真に示すように、岸辺が岩場になっている場所で見られ、ほとんど流れがないように見えます。

しかし、急に深くなっているので、川底の土砂が緩いところでは、足をとられると抜け出せずに大事故になってしまうことがあります。また、渦ができていて、下に引きづり込まれることもあります。

「絶望の淵に沈む」の淵は、「なかなかぬけ出すことのできない苦境」を意味していて、「大変危険」な個所であることを表しています。

淵の流れの様子

安全な装備

水辺で安全に活動するには、いろいろなルールがあります。その一つが装備です。

ライフジャケットは、体に密着するように、胴紐をしっかりと固定します。子ども用の場合には、股紐も固定します。

裸足やスリッパはケガし易いので危険です。ウォーターシューズや濡れても良い運動靴を履きます。

また、救助用ロープを用意していると、もしもの場合に使えます。

最後に、救助方法について説明します。もし水難事故に遭遇したら、必ず次のことを守って行動します。

  1. 飛び込まないこと!!!
  2. 目をはなさず大声でまわりの人の協力を求める
  3. 周りに浮くものがないか探すこと。クーラーボックスやペットボトルなどがあったら、それを投げ入れる
  4. 溺れている人をつかまらせる棒やロープがないか探し、それを投げ入れてつかませる

水難事故の最大の特徴が、「助けに行った人が遭難する」2次災害の多さです。このことを十分に認識して、行動してください。

特に、泳ぎに自信のある人は、飛び込んで救助しようとしますが、しがみ付かれて、泳げなくなって大変危険になります。絶対に飛び込まないで、陸から救助します。

参考資料
「水辺の安全ハンドブック ~川を知る。川を楽しむ~」子どもの水辺サポートセンター